編集者は、想いをことばにしない職業です。
「文章をつくる仕事」というと、どのようなイメージが湧いてくるでしょうか。
小説家、エッセイスト、コピーライター...。
自分は、一般的に「編集者」「ライター」と呼ばれるようなお仕事をしています。
ビジネス・テクノロジー系のウェブメディアを中心に、取材をしてその内容を記事にまとめたり、ライターさんが書いてくれた文章をより読者に届きやすいように編み直したり。
四六時中、テキストをつくり、その対価としてお金をもらって生計を立てる「テキスト屋」です。
だれかが考えていることや、取り組んでいることを、文章にして届ける。そんな仕事がしたくて、新卒で入社したスタートアップをやめて「テキスト屋」になりました。
今は、スキルを磨けるような環境で、それなりに楽しく働けています。
日々、たくさんの「文章」を世に送り出しています。
編集者がことばにするのは、自分自身の想いではなく、だれかの想いです。
だれかの想いを、適切な人にしっかりと届けるために文章をつくるのが、「テキスト屋」の仕事。
日々文章とにらめっこして、「どうすればちゃんと伝わるだろうか」と頭を悩ませています。
しかし、そんな日々のなかで、いつしか自分の想いをことばにしないようになってしまいました。
もともとブログに想ったことをつらつらと綴ったりしていたこともありましたが、いまはだれかの想いを文章にまとめることに精一杯。
お仕事が終わったあとに、「さぁ、自分の想いを文章にしよう」と動き出せるほどのMPは残っていません。
・・・結果、だれかの想いばかりに詳しくなる一方で、自分の考えは十分に深まりきっていないような状況になってしまいました。
これじゃまずい。ちゃんと「思考」し、社会に価値を生み出していかないと、ただの便利な「テキスト屋」になってしまいます。
おおげさな表現をすると、「思想家」「実践家」としての自分をもっと強くしなければいけない、と思いました。
そんな想いで、このブログを開設したわけです。
タイトルの「ひとふでがき」は、「考えたことをそのまま書き綴ろう」という想いをこめてつけました。
文章を整えたり、構成を考えたりとかは、基本しません。
普段「編集」でご飯を食べさせてもらっているからこそ、「編集」されない生の思考をさらけ出す場がほしい。
ジャンルは特に決めません。
仕事柄、「おもしろい」人やものを意識的に追い求めるようにはしていますし、触れる機会もそこそこあります。
ただ、「編集者」としてそれに触れるだけじゃ物足りない。
「思想家」「実践家」として、自分の考えを深めていくために、ここに書き綴っていこうと思います。
僕の考えていることやここに書かれていることに少しでも興味があれば、どうかお付き合いいただけると嬉しいです。